多発性直腸カルチノイドを合併した神経線維腫症1型の1例

山口　高史, 南口　早智子^＊, 大和　俊夫, 植弘　奈津恵, 畑　啓昭, 小木曾　聡, 大谷　哲之, 土屋　宣之, 小泉　欣也

独立行政法人国立病院機構京都医療センター外科, 同　研究検査科病理^＊

　症例は神経線維腫症1型の43歳の女性で，排便時出血があり下部内視鏡検査を施行したところ，内痔核に加え下部直腸に米粒大の粘膜下腫瘤を4個認めた．経肛門的に腫瘤摘出を行ったところ，カルチノイドの病理組織学的診断であった．CT, MRIにて直腸後壁に3 cm大の腫瘤を，回結腸間膜にも同性状の3.5 cm大の腫瘤を認めたため，直腸超低位前方切除，回結腸間膜腫瘤摘出を行った．組織学的検査ではいずれの腫瘤も蔓状神経線維腫であった．直腸を全割して検索したところ，径1～6 mmのカルチノイドを合計10個認め，直腸間膜内リンパ節に転移を伴っていた．神経線維腫症1型では消化管や後腹膜など腹腔内にも神経線維腫は発生しうる．カルチノイドは合併しやすいとされるが十二指腸乳頭部領域に多く直腸カルチノイドの合併はまれである．今回，多発性直腸カルチノイドを伴った神経線維腫症1型の症例を文献的考察を加えて報告する．

索引用語
neurofibromatosis type1, carcinoid, rectum

別刷請求先
山口　高史　〒612-8555　京都市伏見区深草向畑町1-1　国立病院機構京都医療センター外科

受理年月日
2009年6月18日

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