臨床経験
切除不能進行残胃癌症例に対するTS-1経腸瘻投与における薬物動態の検討
宮崎 安弘, 今村 博司, 古河 洋, 龍田 眞行, 安井 友佳子1), 阿南 節子1), 安井 裕之2)
市立堺病院外科, 同 薬剤科1), 京都薬科大学薬学部代謝分析学分野2)
症例は76歳の男性で,噴門側胃切除術後残胃癌に対して,開腹術を施行した.局所浸潤著明の為切除不能であり逆行性胃瘻造設術,腸瘻造設術を行った.術後18日目より,1次治療として経腸瘻的にTS-1投与を開始した.同時にテガフール(FT),5-FU,ギメラシル(CDHP),オテラシルカリウム(Oxo)の血漿濃度測定を行った.FTは投与30分後にCmax(1,920 ng/mL)が観測され,5-FUのCmax(89.2 ng/mL)は投与2時間後に観測された.CDHP, OxoのCmax(162.2 ng/mL,および119.6 ng/mL)はそれぞれ投与1時間後に観測された.Grade3以上の有害事象を認めず,同一治療を2コース行い原発巣の縮小を確認した.現在4コース目を施行中である.経口摂取不能である切除不能進行再発胃癌患者に対して,経管投与によるTS-1単剤療法は有用であると考えられた.
索引用語
TS-1, administration via jejunostomy, pharmacokinetics
別刷請求先
宮崎 安弘 〒590-0064 堺市堺区南安井町1-1-1 市立堺病院
受理年月日
2009年6月18日
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