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第43巻 第3号 2010年3月 [目次] [全文 ( PDF 717KB)]
症例報告

傍食道裂孔ヘルニアに膵頭部が嵌頓し胆管通過障害を呈した1例

門馬 智之1)2), 渡辺 洋平1)2), 佐久間 威之1), 松嵜 正實1), 片方 直人1), 渡辺 文明1), 野水 整1), 竹之下 誠一2)

財団法人星総合病院外科1), 福島県立医科大学器官制御外科2)

 症例は71歳の女性で,食欲不振,胸部不快感およびタール便を主訴に前医を受診し,胃潰瘍と幽門狭窄および著明な貧血を認め当科紹介となった.上部消化管造影検査では縦隔内に胃前庭部から十二指腸の縦隔内への脱出を認め,腹部CTでは膵頭部までもが縦隔内に脱出していた.上部消化管内視鏡検査の後症状の軽快があり内科的加療を行っていたが,胃潰瘍は難治性であった.経過中に肝機能障害を来しため行ったDIC-CTにて胆管の狭窄と末梢胆管の拡張を認めた.胃前庭部,十二指腸および膵頭部の傍食道裂孔ヘルニア嵌頓による胆道狭窄および難治性胃潰瘍の診断にて開腹手術を行った.開大した食道裂孔へ胃前庭部,十二指腸および膵頭部が嵌頓しており,整復後ヘルニア門を縫縮し閉鎖した.術後経過は良好で第12病日に退院し,術後30か月経過した現在も肝機能障害を認めず,上部消化管内視鏡検査上も胃食道逆流症および胃潰瘍再発を認めていない.

索引用語
paraesophageal hiatus, pancreas, bile duct

日消外会誌 43: 229-234, 2010

別刷請求先
門馬 智之 〒960-1295 福島市光が丘1 福島県立医科大学器官制御外科

受理年月日
2009年7月22日

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