症例報告
Multidetector computed tomographyにより出血源を同定した十二指腸第4部憩室出血の1例
上月 章史, 篠崎 浩治, 古川 潤二, 萩原 純
済生会宇都宮病院外科
症例は78歳の女性で,慢性腎不全のため週2回の維持透析中であった.血液透析中にコーヒー残渣様の嘔吐と血圧の低下を認め,当院へ転院となった.緊急上部消化管内視鏡検査を施行し,十二指腸第2部まで明らかな出血源を認めないものの,十二指腸肛門側から新鮮血の逆流を認め,出血源特定のため腹部造影multidetector computed tomography(以下,MDCT)を施行した.十二指腸第4部内に40 mm大の低吸収腫瘤と,同部位から腸管内へのextravasationを認めた.輸血を施行したが血行動態が安定しないため,緊急手術を施行した.手術により十二指腸第4部の憩室出血と診断し,血腫とともに憩室を切除し,縫合閉鎖した.十二指腸憩室出血に対する手術加療として憩室切除は侵襲が少なく,最適な術式であり,腹部造影MDCTは急性の消化管出血において出血源の同定に有効と考えられた.
索引用語
bleeding, duodenal diverticulum, multidetector computed tomography (MDCT)
別刷請求先
篠崎 浩治 〒321-0974 宇都宮市竹林町911-1 済生会宇都宮病院外科
受理年月日
2009年7月22日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|