症例報告
十二指腸gastrointestinal stromal tumorと上行結腸癌を併存したvon Recklinghausen病の1例
吉田 徹, 小原 眞, 石黒 保直, 遠藤 秀彦, 佐藤 孝1), 菅井 有2)
岩手県立釜石病院外科, 岩手医科大学病理学講座病理病体学分野1), 同 分子診断病理学分野2)
症例はvon Recklinghausen病(以下,VRD病)の57歳の男性で,検診で便潜血陽性と指摘され下部消化管精査を施行したところ,上行結腸癌に内腔2/3を占める2型腫瘤を認め,生検にて中分化型腺癌と診断された.腹部CTでは十二指腸水平脚に鶏卵大の腫瘤を認め,右半結腸切除と十二指腸部分切除を施行した.病理組織学的検査にて十二指腸腫瘍はgastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)と診断されたが,c-kit遺伝子に突然変異は認めなかった.VRD病に合併するGISTの組織発生は,非VRD症例とは異なる可能性が示唆され,imatinib mesylate(IM)の有効性に関しても今後,症例の集積が必要である.VRD病は神経原性腫瘍の合併が多いが,近年上皮性腫瘍の合併に加えて小腸多発性GISTを併発した報告例が増加している.VRD患者の診察に当たっては小腸を含めた消化管病変の合併を常に留意して検索する必要があると思われた.
索引用語
gastrointestinal tumor (GIST), c-kit gene mutation, von Recklinghausen's disease (VRD)
別刷請求先
吉田 徹 〒026-8550 釜石市甲子町10-483-6 岩手県立釜石病院外科
受理年月日
2009年7月22日
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