症例報告
胃癌周術期に血球貧食症候群を呈しステロイドが著効した1例
藍原 龍介, 大野 哲郎, 持木 彫人, 小磯 博美*, 浅尾 高行, 桑野 博行
群馬大学大学院病態総合外科学, 同 生体統御内科学*
症例は66歳の男性で,第13病日に胃切除後の縫合不全にて腹腔内膿瘍を形成した.CTガイド下ドレナージにて膿瘍は改善し経口摂取を開始したが,第35病日に再び発熱を認めた.敗血症(血液培養陽性:Stenotrophononas maltophilia)の診断で抗生剤治療を開始したが解熱を認めなかった.循環・呼吸状態が急速に悪化したため人工呼吸器管理を開始した.末梢血にて血球減少(Hb 7.8 g/dl,Plt 19×103 /μl),CTにて肝脾腫大を認めた.骨髄にて血球貧食像を認めたため,血球貧食症候群と診断し同日よりステロイドパルス治療(ソルメドロール1 g/日,全3日間)を開始した.翌日より呼吸状態の改善と解熱を認め,血球減少も著明に改善した.ステロイドパルス治療から1週間後には経口摂取を開始し第72病日には退院となった.退院から8か月,血球貧食症候群の再発兆候は認めない.
索引用語
hemophagocytic syndrome, gastrectomy
別刷請求先
藍原 龍介 〒371-8511 前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院病態総合外科
受理年月日
2009年9月16日
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