症例報告
TS-1+Cisplatin併用療法中に可逆性後部白質脳症症候群を発症した高度進行胃癌の1例
戸田 孝祐, 柿原 直樹, ゆう 賢, 石井 亘, 山田 圭吾, 下村 克己, 松村 博臣, 大垣 雅晴, 宮田 圭悟, 竹中 温
京都第二赤十字病院外科
症例は59歳の女性で,0-IIc型の進行胃癌に対し幽門側胃切除術とリンパ節郭清を施行した.病理組織学的検査にてsignet ring cell carcinoma,pT2(MP),pN3(#3,#4d,#5,#6,#7,#8a,#8p),M0,stageIVであったため術後にTS-1(80 mg/day,3週投与2週休薬),TS-1投与1週間後にcisplatin(75 mg/day)を経静脈投与した.2コース目の開始後10日目に嘔気が出現し,その後に全身の強直性のけいれんを発症した.頭部MRIで,両側後頭葉から頭頂葉の白質にT2強調像で高信号領域を認めた.化学療法の中止と対症療法により神経症状および画像所見の改善を認めたため可逆性後部白質脳症症候群と診断した.抗悪性腫瘍薬や免疫抑制剤により可逆性後部白質脳症症候群を発症することはあるが,TS-1+cisplatin併用療法中に発症した報告はまれであり,その危険性も念頭におく必要があると考えられた.
索引用語
posterior reversible encephalopathy syndrome, TS-1, gastric cancer
別刷請求先
戸田 孝祐 〒277-8577 柏市柏の葉6-5-1 国立がんセンター東病院
受理年月日
2009年7月22日
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