症例報告
胆嚢動脈による偽性総肝管狭窄の1例
荒川 悠佑, 島田 光生, 内山 秀昭, 居村 暁, 森根 裕二, 金村 普史, 花岡 潤, 金本 真美, 杉本 光司, 西 正暁
徳島大学外科
胆道狭窄は悪性疾患を疑う所見である.胆道は直接的診断が困難であり,間接的な画像診断が行われるため,偽性胆管狭窄の報告がみられる.症例は74歳の女性で,診断は胆嚢腫瘍および総肝管狭窄であった.超音波内視鏡検査では胆嚢腫瘍は最大径12 mmであり,また総肝管狭窄は胆嚢癌の総肝管浸潤や胆管癌による可能性が否定できなかったため開腹胆嚢摘出術および術中胆道造影検査を施行した.術中所見では総肝管は胆嚢動脈に圧排されており,狭窄の原因と考えられた.胆嚢動脈の切離後,総胆管を切開し狭窄部を確認するも病変は認められなかった.胆道造影検査でも狭窄像は認められなかった.胆嚢内には12 mm大の隆起性病変を認め,深達度mpの早期胆嚢癌であった.今回,我々は胆嚢動脈の圧排によって画像上偽性総肝管狭窄を生じた胆嚢癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
索引用語
bile duct stenosis, cystic artery
別刷請求先
荒川 悠佑 〒770-8503 徳島市蔵本町3-18-15 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部臓器病態外科学
受理年月日
2009年9月16日
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