症例報告
胆嚢癌卵巣転移の1例
松本 拓, 味木 徹夫, 松本 逸平, 美田 良保, 藤田 恒憲, 森本 大樹, 岡崎 太郎, 具 英成
神戸大学大学院肝胆膵外科学
症例は49歳の女性で,近医で肝機能異常とCA19-9の高値を認め腹部CT施行,胆嚢腫瘍と左卵巣腫瘍を指摘され精査加療目的に当科紹介された.腹部CT, MRIで胆嚢に不整な壁肥厚と乳頭状隆起を認め,骨盤腔内に14 cm大の多房性嚢胞を認めた.胆嚢と卵巣の重複癌の診断にて開腹手術を施行したが,胆嚢癌は腹膜転移を伴っており総肝動脈幹リンパ節のサンプリングと両側附属器切除のみを施行した.手術時に採取したリンパ節と左卵巣腫瘍はともに腺癌で,免疫組織染色検査にていずれもCA19-9陽性,cytokeratin 7陽性,cytokeratin 20陽性,p53陽性であり,一元的に胆嚢癌のリンパ節転移,卵巣転移と診断した.消化管腫瘍の卵巣転移のうち,胆嚢癌由来はまれである.本例はジェムシタビン,TS-1による化学療法を行い,術後21か月生存した.
索引用語
gallbladder cancer, metastatic ovarian cancer, gemcitabine
別刷請求先
松本 拓 〒650-0017 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学大学院肝胆膵外科学
受理年月日
2009年7月22日
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