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第43巻 第4号 2010年4月 [目次] [全文 ( PDF 849KB)]
症例報告

膵臓に発生したdermoid cystの1例

恩田 真二, 吉田 清哉, 梶本 徹也, 遠藤 泰彦1), 矢永 勝彦2)

富士市立中央病院外科, 同 臨床検査科1), 東京慈恵会医科大学外科学講座消化器外科2)

 症例は65歳の男性で,虚血性大腸炎のため入院中,腹部CTで膵尾部に4.5×3.5 cmの嚢胞性腫瘍を指摘された.膵管の拡張は伴わず,膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;以下,IPMN)の分枝型と診断して経過を観察した.当初は無症状であったが,次第に背部痛が出現し,2か月後の腹部CTで腫瘍は増大した.血清CA19-9が高値でもあることから,悪性腫瘍を否定できず,脾合併膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的検査では,膵臓に発生したdermoid cystと診断された.膵臓の本疾患の報告は自験例を含め我々が検索しえた範囲で21例と非常にまれである.卵巣のdermoid cystでは悪性化が報告されており,注意深い経過観察が必要である.

索引用語
dermoid cyst, pancreas

日消外会誌 43: 431-436, 2010

別刷請求先
恩田 真二 〒417-8567 富士市高島町50 富士市立中央病院外科

受理年月日
2009年9月16日

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