症例報告
異時性両側スピーゲルヘルニアの1例
中島 紳太郎, 諏訪 勝仁, 北川 和男, 山形 哲也, 岡本 友好, 矢永 勝彦*
東京慈恵会医科大学第3病院外科, 東京慈恵会医科大学外科学講座・消化器外科*
症例は54歳の女性で,2001年9月に当院で右側スピーゲルヘルニアに対して修復術を施行した.2007年9月に左中腹部膨隆を主訴に当科を受診した.身体所見上,左中腹部に腹圧にて出現する膨隆を触知し圧痛は認めなかった.還納は容易であり,直径2 cm大のヘルニア門を触診した.前回手術痕は右側対称に認められた.CTでは左腹直筋外縁に腹腔内から皮下に脱出するヘルニア嚢を認めた.以上より,左側スピーゲルヘルニア異時性発症と診断し,待機的に全身麻酔下で手術を施行した.ヘルニア門は直径1.5×1.5cm大で,腹直筋と内外腹斜筋および腹横筋間の癒合が完全欠損したタイプであった.Composix® Kugel® patchを用いて修復を行った.術後経過は良好で,第8病日に退院した.術後15か月が経過し,再発は認めていない.今回,我々は非嵌頓異時性両側スピーゲルヘルニアの1例を経験したので,文献的考察を含め報告した.
索引用語
spigelian hernia, bilateral, metachronous
別刷請求先
中島紳太郎 〒201-8601 狛江市和泉本町4-11-1 東京慈恵会医科大学第3病院外科
受理年月日
2009年7月22日
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