症例報告
漏斗胸患者に食道癌根治術を施行した1例
岩田 直樹, 小池 聖彦, 伊藤 友一, 中山 吾郎, 藤原 道隆, 小寺 泰弘, 亀井 譲*, 中尾 昭公
名古屋大学消化器外科, 同 形成外科*
漏斗胸は一般的に無症状だが,胸痛や心肺機能の低下を認めることがある.漏斗胸をもつ症例に,食道癌手術などの過大侵襲手術を行う場合には,漏斗胸自体が術後合併症のリスクとなりえる.症例は61歳の男性で,上部消化管内視鏡検査で門歯列34~39 cmに2型腫瘍を認めた.生検の結果扁平上皮癌を認めた.術前診断はT3,N0,M0,StageIIA(International Union Against Cancer(UICC)分類)で,Standard FPを2コース施行したのちに手術を予定した.しかし,胸部CTで椎体と胸骨間が4 cmしかなく,通常の右開胸での食道亜全摘術は安全に行えないと考えられた.まず,漏斗胸根治術(Ravitch法)と腹部操作を行った.続いて,右開胸して,2領域郭清を伴う食道亜全摘を施行した.術野確保は良好であった.術後第22病日に退院した.漏斗胸をもつ食道癌患者に漏斗胸根治術(Ravitch法)を併施して,安全に食道癌根治術を行いえた1例を報告する.
索引用語
esophageal cancer, pectus excavatum, Ravitch procedure
別刷請求先
岩田 直樹 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学癌研究室
受理年月日
2009年10月28日
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