症例報告
長期の無病生存を認めた膵原発扁平上皮癌の1例
宮本 良一, 小泉 雅典, 寺島 徹, 小崎 浩一, 湯沢 賢治, 山口 高史1), 大谷 明夫2), 植木 浜一
国立病院機構水戸医療センター外科, 同 消化器科1), 同 病理診断科2)
症例は57歳の女性で,背部痛,左上腹部痛を主訴に近医受診し,腹部超音波検査で膵尾部から脾門部にかけて径10 cm大の腫瘍を認め,当院消化器科紹介となった.腹部CT所見では,膵尾部の腫瘍が脾臓,胃体部後壁に浸潤し,膵癌が疑われた.脾臓周囲に膿瘍を合併していた.膵体尾部切除,脾臓摘出術,胃部分切除術を施行した.病理組織学的検査では中分化型扁平上皮癌であった.剥離断端は陰性と判断した.術後補助化学療法施行されたが経過中に副作用症状増悪し,化学療法中止となった.術後37か月後の現在まで無再発生存中である.自験例は扁平上皮癌に特徴的な病理組織学的検査所見ならびに画像的検査所見を有していた.他臓器浸潤を認める進行した膵癌であったが,術後長期生存が得られた貴重な症例と思われたので報告する.
索引用語
squamous cell carcinoma, pancreas, surgery
別刷請求先
小泉 雅典 〒311-3193 東茨城郡茨城町桜の郷280番地 国立病院機構水戸医療センター外科
受理年月日
2009年10月28日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|