症例報告
虫垂粘液嚢胞腺癌と原発性腹膜癌の重複癌の1例
大原 佑介, 山本 雅由, 柳沢 和彦, 稲川 智, 寺島 秀夫, 鈴木 英雄1), 菅野 雅人2), 大河内 信弘
筑波大学消化器外科, 同 消化器内科1), 同 病理部2)
症例は66歳の女性で,下腹部痛を主訴に近医を受診し子宮内膜細胞診でClass Vと診断され,婦人科系悪性腫瘍を疑われ当院紹介受診した.画像診断で子宮,両側卵巣に異常所見は認めず,虫垂粘液瘤を認めた.細胞診と合わせて考え,虫垂癌,腹膜播種を疑い開腹手術を行った.術中に内部にゼリー状の粘液が充満した虫垂腫瘍と,多数の腹膜結節を認め,虫垂粘液嚢胞腺癌,腹膜播種と診断し,結腸右半切除術,腹水細胞診,腹膜結節の生検を施行した.しかし,病理組織学的に虫垂腫瘍と腹膜結節の細胞骨格が異なり,虫垂粘液嚢胞腺癌と原発性腹膜癌の重複癌と診断した.術後は予後を規定すると思われる原発性腹膜癌に対する化学療法を施行している.虫垂粘液嚢胞腺癌と原発性腹膜癌はいずれもまれな疾患で,両者の重複癌の報告はなく,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
appendix, mucinous cystadenocarcinoma, primary peritoneal carcinoma
別刷請求先
大原 佑介 〒305-8577 つくば市天王台1-1-1 筑波大学消化器外科
受理年月日
2009年11月18日
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