症例報告
完全型虫垂重積症を来した早期虫垂癌の1例
横山 義信, 大上 英夫, 南村 哲司*, 塚田 一博*
富山逓信病院外科, 富山大学消化器・腫瘍・総合外科*
完全型虫垂重積症を来した早期虫垂癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.患者は96歳の女性で,下血のため精査を受けた.注腸造影検査・大腸内視鏡検査にて盲腸腫瘍を認め,腹部CTにてtarget signを認めた.盲腸腫瘍による腸重積が疑われたため,回盲部切除術を行った.切除標本の病理組織学的検索では盲腸内に完全に翻転重積した管状絨毛腺腫内虫垂癌(M,ly0,v0,N0,stage 0)であった.虫垂重積症を来した虫垂癌を術前に確定診断することは難しいが,大腸内視鏡検査にて盲腸腫瘍を認める場合には,本症も鑑別として考え,CTや注腸造影所見等とあわせて判断すれば,診断は可能であると思われた.虫垂重積症を来した虫垂癌の報告例は早期癌や腺腫内癌が大部分を占めていることから,リンパ節転移を認めなければ,縮小手術も適応になると考えられる.
索引用語
appendiceal carcinoma, appendiceal intussusception
別刷請求先
横山 義信 〒930-8798 富山市鹿島町2-2-29 富山逓信病院外科
受理年月日
2009年9月16日
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