症例報告
腹腔鏡下に切除した仮性腸間膜嚢胞の1例
鈴木 一史, 千葉 聡2), 中島 一彰, 大竹 喜雄, 入江 康文1)
三愛記念病院外科, 同 内科1), 国保成東病院外科2)
症例は76歳の男性で,両下肢の浮腫,腹部膨満を主訴に当科受診.既往歴に明確な腹部外傷はなかった.腹部CTでは,肝外側区域に接する21×14×20 cmの巨大な嚢胞性病変を認め,下大静脈を圧排していた.腹部MRIでは,T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号の均一な内容をもつ嚢胞であった.嚢胞の原発部位の特定は困難であったが,肝外発育性肝嚢胞の可能性が高いと考えられた.下肢の浮腫が増悪傾向のため,経皮的に嚢胞を穿刺し,嚢胞内容のドレナージを行ったのち,手術を行った.腫瘍は,胃結腸間膜から発生した単純性嚢胞であり,腹腔鏡下嚢胞摘出術を行った.病理組織学的には,嚢胞内面に上皮細胞の裏打ちがなく線維性組織から成ることから,腸間膜仮性嚢胞であった.腸間膜仮性嚢胞の報告は,本邦18例目であり,腹腔鏡下手術は2例目であった.原発不明の腹腔内嚢胞性疾患の鑑別診断に当疾患を加える必要があると考えられた.
索引用語
mesenteric cyst, pseudocyst, laparoscopic surgery
別刷請求先
鈴木 一史 〒260-0027 千葉市中央区新田町2-3 三愛記念病院外科
受理年月日
2009年9月16日
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