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第43巻 第7号 2010年7月 [目次] [全文 ( PDF 826KB)]
症例報告

腫瘍破裂による腹腔内出血で発症した肝血管筋脂肪腫の1例

粟根 雅章, 内藤 雅人1), 松末 智1), 本庄 原2), 小橋 陽一郎2), 前田 浩晶3)

関西電力病院外科, 天理よろづ相談所病院腹部一般外科1), 同 臨床病理部2), 八尾総合病院外科3)

 症例は48歳の女性で,突然の右季肋部痛のため当院を受診した.CTにて肝S8に径6 cmの腫瘤を認め,腹腔内に中等量の液体貯留を来していたことより腹腔内出血を来していたと考えられた.腫瘍は造影CTで動脈性早期濃染を伴い,MRIではT1強調画像で低信号,脂肪抑制T2強調画像で高信号であり典型的ではないが肝癌と診断した.待期的に肝部分切除を行った.病理組織学的検査では類上皮細胞のみからなる充実性,類洞状増殖を認め肝細胞癌類似の所見であったが,HMB-45陽性であることから肝血管筋脂肪腫と診断された.肝血管筋脂肪腫は血管,平滑筋,脂肪の成分をさまざまな割合で含むまれな良性腫瘍である.その多様性のため,画像・病理の診断が困難なことがある.肝血管筋脂肪腫の破裂は極めてまれであるが,術前診断が困難であること,悪性化の可能性があることなどからも,病態によっては切除の適応とすべきである.

索引用語
hepatic angiomyolipoma, spontaneous rupture, hemorrhage

日消外会誌 43: 724-729, 2010

別刷請求先
粟根 雅章 〒553-0003 大阪市福島区福島2-1-7 関西電力病院外科

受理年月日
2009年11月18日

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