症例報告
自然破裂を来した脾類上皮嚢胞の1例
村橋 邦康, 高垣 敬一, 岸本 圭永子, 西野 光一, 青木 豊明, 曽和 融生, 石黒 信吾*
大阪掖済会病院外科, PCL大阪病理細胞診センター*
今回,我々は脾類上皮嚢胞自然破裂というまれな疾患を経験したので報告する.症例は21歳の女性で,突然の下腹部痛にて当院を受診した.来院時血圧低下なく,貧血も認めなかった.腹部は平坦で,下腹部正中に強い圧痛と反跳痛および筋性防御を認めた.腫瘤は触知されなかった.入院時腹部CTにて,脾下極に接した10 cm大の球形腫瘤と少量の腹水を認めた.8時間後の腹部超音波検査にて,腹水の著明な増量と脾下極に血腫と思われる腫瘤像を認めた.脾腫瘍の破裂に伴う腹腔内出血と診断し,緊急手術を施行した.腹腔内には,多量の血液が貯留し,脾下極に破裂した手拳大の嚢胞性腫瘤を認めた.脾摘術を行い,病理組織学的所見では嚢胞壁に重層扁平上皮細胞列を認め,類上皮嚢胞と診断された.術後経過は順調にて術後16日目に退院となった.
索引用語
spontaneous rupture, spleen, epidermoid cyst
別刷請求先
村橋 邦康 〒550-0022 大阪市西区本田2-1-10 大阪掖済会病院
受理年月日
2009年10月28日
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