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第43巻 第7号 2010年7月 [目次] [全文 ( PDF 715KB)]
症例報告

保存的に経過観察しえた坐骨ヘルニアによるイレウスの1例

打田 裕明, 川崎 浩資, 西田 司, 梅本 健司, 三好 和裕, 稲田 悠紀, 松木 充, 石橋 孝嗣

医療法人春秋会城山病院消化器外科, 同 放射線科

 症例は75歳の女性で,腹痛,発熱,嘔吐を主訴に救急搬送された.画像上,坐骨孔より脱出する小腸と腸管の拡張を認め,坐骨ヘルニアによるイレウスと診断し,緊急入院となった.触診上,腸管虚血や壊死を示唆する所見はなく,またイレウス管造影検査で,腸管の完全閉塞が否定されたため,緊急手術は施行せず,保存的に経過観察を行った.第5病日,イレウス管を抜去し経口摂取を開始したが,腹部症状の増悪はなく,第56病日に転院となった.その後,特にイレウスの再燃はなく,15か月が経過している.坐骨ヘルニアは非常にまれな疾患であり,文献検索にて,海外で51例,本邦では自験例を含め10例の報告をみるにすぎない.今回,我々は坐骨ヘルニアによるイレウスと画像診断し,保存的に経過観察しえた症例を経験したので,これを提示するとともに,文献的考察を加えて報告する.

索引用語
sciatic hernia, ileus

日消外会誌 43: 741-745, 2010

別刷請求先
川崎 浩資 〒583-0872 羽曳野市はびきの2-8-1 医療法人春秋会城山病院消化器外科

受理年月日
2009年11月18日

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