症例報告
脈絡膜転移を初症状として再発を来した直腸癌の1例
指山 浩志, 阿部 恭久, 笹川 真一, 花田 裕之, 羽鳥 優子1), 窪田 真理子2), 坂尾 誠一郎3), 廣島 健三4)
公立長生病院外科, 同 眼科1), 千葉大学医学部附属病院眼科2), 同 呼吸器内科3), 同 診断病理4)
左眼視力低下を初症状として再発を来した直腸癌の脈絡膜転移症例を経験したので,報告する.症例は49歳の男性で,直腸癌の根治手術15か月後に左眼視力低下を初症状として受診.眼底検査で左眼に,漿液性網膜剥離を伴う脈絡膜腫瘍を認め,胸部CTで両肺に空洞形成を伴う小結節影を多数認めた.経気管支肺生検で腺癌を検出したため,直腸癌の左脈絡膜転移,両側多発性肺転移と診断した.全身化学療法を施行した後,漿液性網膜剥離,網膜下の滲出性変化は改善,脈絡膜腫瘍は縮小し扁平化したが,視力の改善は得られなかった.一方,肺転移は次第に増悪,頸椎転移も出現し,再発後11か月で死亡した.結腸直腸癌の脈絡膜転移報告例は自験例を含め9例とまれであり,報告例は多臓器転移症例が多く,肺,肝転移から2次的に脈絡膜転移を起こす可能性が示唆された.
索引用語
choroidal metastasis, rectal cancer, vision loss
別刷請求先
指山 浩志 〒277-0871 柏市若柴178-2柏の葉キャンパス148街区6 辻仲病院柏の葉大腸肛門外科
受理年月日
2009年11月18日
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