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第43巻 第7号 2010年7月 [目次] [全文 ( PDF 893KB)]
症例報告

横行結腸間膜より発生した孤立性線維性腫瘍の1例

鎌田 喜代志, 松村 一隆, 中川 正, 赤堀 宇広

平尾病院外科

 症例は42歳の男性で,腹痛を主訴として当院を受診した.超音波検査で左上腹部に内部に嚢胞成分を有する約70 mm大の腫瘤を認めた.CT,MRIでは内部が不均一に造影される充実性腫瘍で,小腸壁と一部で接しており,小腸造影検査で粘膜の不整像を認めず,壁外性の圧排を認めることより,小腸原発の壁外性に発育した間葉系腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は横行結腸間膜より発生し,間膜より尾側に垂れ下がるように存在,他臓器への浸潤は認めなかった.摘出標本は60×90×50 mmの被膜に覆われた弾性硬で内部に嚢胞部分を有する充実性腫瘤であった.病理組織学的検査では異型性の乏しい紡錘型細胞が間質に膠原線維を伴い密に増生しており,免疫組織化学的にCD34(+),c-kit(-),SMA(-),S-100(-)であり,核分裂像が3/10HPFと少ないことより横行結腸間膜由来の低悪性度孤立性線維性腫瘍と診断した.術後3年経過した現在,無再発生存中である.

索引用語
solitary fibrous tumor, mesenteric tumor

日消外会誌 43: 758-764, 2010

別刷請求先
鎌田喜代志 〒573-8511 枚方市星丘4-8-1 星ヶ丘厚生年金病院外科

受理年月日
2009年11月18日

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