症例報告
腹腔鏡補助下幽門側胃切除Roux-en-Y再建後の内ヘルニアを腹腔鏡下に整復した1例
山田 博之, 小嶋 一幸, 井ノ口 幹人, 加藤 敬二, 大槻 将, 藤森 喜毅, 河野 辰幸, 杉原 健一*
東京医科歯科大学医学部附属病院食道・胃外科, 東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学分野*
症例は49歳の女性で,早期胃癌にて腹腔鏡補助下幽門側胃切除術・D1+β郭清,結腸前Roux-en-Y再建を施行された.外来での経過観察中に腹痛が出現し改善がみられないため当科受診した.明らかなイレウス所見を認めなかったが,腹部CTにて腸間膜の軸捻転が認められ内ヘルニアと診断した.自然整復は困難と判断し腹腔鏡手術を行った.腹腔鏡の観察では,ほぼ全小腸が挙上空腸と横行結腸間膜の間隙(Petersen's defect)に入り込み左側へ変位していた.虚血性変化はなく腹腔鏡下に整復し手術を終了した.幽門側胃切除後の内ヘルニアは比較的まれな病態であるが,Roux-en-Y法では挙上空腸と横行結腸間膜との間隙が生じることで内ヘルニアの危険性が高く,Roux-en-Y法においては内ヘルニア発生の可能性を常に念頭に置く必要がある.
索引用語
Roux-en-Y reconstruction, internal hernia, laparoscopic gastrectomy
別刷請求先
山田 博之 〒113-8519 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学食道胃外科
受理年月日
2010年1月27日
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