症例報告
非B非C型肝炎患者に発生した若年者肝細胞癌破裂の1例
岡本 信彦, 山藤 和夫, 窪地 淳, 朝見 淳規, 竹島 薫, 林 憲孝, 馬場 秀雄
さいたま市立病院外科
患者は25歳の女性で,2007年9月中旬に上腹部痛を自覚し,近医を受診した.腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘され当院へ紹介となったが,来院中に腹痛の増強あり救急外来へ搬送となった.当院到着時頻脈,血圧低下を認め,腹部超音波検査上,モリソン窩,ダグラス窩,左横隔膜下に出血が疑われた.肝腫瘍破裂と診断し腹部造影CTを行ったところ,肝S3の腫瘤と,その周囲への血管外漏出を認め,緊急血管造影にて止血術を行った.入院後のダイナミックCT,MRI,造影超音波精査により腫瘍径約70 mm大の内部に壊死を伴う動脈血流豊富な腫瘍と診断された.AFP,protein induced vitamin K absence(PIVKA)-II高値であることから肝細胞癌が最も疑われ,手術を予定した.開腹所見では肉眼的に腹膜播種は認めず,肝外側区域切除を施行した.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.病理組織学的には中分化型肝細胞癌であり,術後21か月経過するが現在のところ再発所見を認めていない.
索引用語
ruptured hepatocellular carcinoma, juvenile hepatocellular carcinoma, hepatocellular carcinoma without viral infection
別刷請求先
岡本 信彦 〒336-8522 さいたま市緑区三室2460 さいたま市立病院外科
受理年月日
2010年1月27日
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