症例報告
主膵管との交通を認めた膵漿液性嚢胞腺腫の1例
村瀬 勝俊, 阪本 研一, 関野 誠史郎, 小久保 健太郎
美濃市立美濃病院外科
主膵管との交通を認め,分枝型intraductal papillary mucinous neoplasm(以下,IPMN)との鑑別を要し手術に至った漿液性嚢胞腺腫(serous cystic tumor;以下,SCT)macrocystic typeの1例を経験したため報告する.症例は63歳の女性で,右背部痛のため当院を受診した.CTで膵頭体移行部に3 cm大の嚢胞性病変を指摘された.ERCPで病変は主膵管との交通を認めた.主膵管の拡張は認めなかった.膵液細胞診は悪性所見を認めなかった.Endoscopic ultrasonography(以下,EUS)で壁在結節を認めたため腺腫以上のIPMNと診断した.手術適応と判断したが,手術を希望されなかったため経過観察とした.10か月後のEUSで壁在結節が増大傾向を示したため再度手術をすすめ幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は26×15 mm大の多房性の嚢胞性病変で,内腔には褐色の壁在結節様構造物を認めた.病理組織学的検査でSCT macrocystic typeと診断された.壁在結節に細胞性成分は認めなかった.
索引用語
serous cystic tumor, pancreatic duct communication, macrocystic type
別刷請求先
村瀬 勝俊 〒501-1192 岐阜市黒野176番地5 平野総合病院外科
受理年月日
2010年1月27日
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