臨床経験
食道癌術後頻脈性不整脈に対する塩酸ランジオロールの有効性
清島 亮, 小柳 和夫1), 中川 基人, 永瀬 剛司, 岡林 剛史, 田渕 悟1), 小澤 壯治2), 金井 歳雄
平塚市民病院外科, 埼玉医科大学国際医療センター消化器外科1), 東海大学消化器外科2)
食道癌根治術後の難治性頻脈性不整脈は頻度の高い合併症の一つである.我々は食道癌術後上室性頻脈性不整脈に対して短時間作用型β1選択的遮断薬(塩酸ランジオロール)を投与し有効に作用した5症例を経験した.いずれも術前の心電図や心臓超音波検査で異常は認めなかった.頻脈性不整脈は術後2ないし3日目に発生した.塩酸ランジオロール投与は2例目まではジギタリス製剤もしくは塩酸ベラパミル投与の無効症例に,その後の3例は第1選択として使用した.投与開始量は,1例目は20 μg/kg/分,2例目からは2 μg/kg/分で,適宜増減した.脈拍数はいずれの症例も塩酸ランジオロール開始数分後に減少し,投与中に収縮期血圧は低下しなかった.塩酸ランジオロールは半減期が短く調節性に優れており,食道癌術後の頻脈性不整脈に対しても有用であると考えられた.
索引用語
β1 selective blocker, tachyarrhythmia, esophageal cancer
別刷請求先
清島 亮 〒176-8530 練馬区旭丘1-24-1 練馬総合病院外科
受理年月日
2010年2月17日
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