症例報告
骨盤内副脾腫大にて再燃し脾摘17年後に腹腔鏡下副脾摘出術を施行した遺伝性球状赤血球症の1例
倉島 庸, 大野 耕一, 長谷 龍之介, 鈴木 善法, 高田 実, 竹内 幹也, 大竹 節之, 藤森 勝, 関下 芳明
帯広厚生病院外科
遺伝性球状赤血球症は赤血球の膜異常に起因する疾患で,溶血性貧血,黄疸および脾腫を呈する.治療として中等度~重症例に対し脾臓摘出術が施行されるが,脾組織の散布による異所性脾や残存副脾による再燃がまれに問題となる.今回,我々は脾臓摘出17年後に骨盤内副脾腫大にて再燃し,腹腔鏡下副脾摘出術を施行した遺伝性球状赤血球症の1例を経験したため報告する.症例は21歳の女性で,4歳時に遺伝性球状赤血球症および胆石症に対し脾臓摘出,胆嚢摘出術を受けている.術後17年目に黄疸の再燃にて当院血液内科を受診し,腹部骨盤CTにて骨盤内に8 cm大の腫瘤を指摘され,脾シンチグラムにて同部位に集積を認めた.骨盤内副脾腫大による遺伝性球状赤血球症の再燃と診断され,腹腔鏡下副脾摘出術が施行された.患者は術後6日目に軽快退院した.本疾患は副脾の存在にて,術後数年以上経過してからも再燃の可能性があることを念頭においたフォローアップが必要である.
索引用語
hereditary spherocytosis, recurrence, accessory spleen
日消外会誌 43: 1042-1047, 2010
別刷請求先
倉島 庸 〒060-8638 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部腫瘍外科
受理年月日
2010年3月24日
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