症例報告
Billroth II法再建後のBraun吻合と輸出入脚の腸間膜間隙に全小腸が嵌頓し内ヘルニアを呈した1例
黨 和夫, 荒井 淳一, 柴田 良仁, 生田 安司, 岡 忠之, 福井 健一郎*
国立病院機構嬉野医療センター外科, 同 放射線科*
症例は76歳の男性で,40年前に胃潰瘍で胃切除術の既往があった.他院入院中に嘔吐,腹痛が出現し,腹部CTでイレウスが疑われ当院に救急搬送された.腹部は緊満し周期的な疝痛あるも筋性防御は認めない.腹部CTではほぼ全小腸が拡張し腹水も認め絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した.小腸は高度に拡張し暗赤色を呈していた.回腸末端側へ引き出すように嵌頓小腸を順序よく送りBraun吻合近くまで戻した時点で絞扼がすべて解除された.Braun吻合と輸出入脚間の腸間膜間隙にBraun吻合部直下から回腸末端近くまでの小腸が嵌入し,内ヘルニアを呈していた.整復後に小腸の血行は改善し腸管切除は行わなかった.ヘルニア門の腸間膜間隙は縫合閉鎖した.Billroth II法再建術後の胃空腸吻合とBraun吻合間の腸間膜間隙に小腸が嵌頓した内ヘルニアは極めてまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
internal hernia, Braun anastomosis, mesenteric gap
日消外会誌 43: 1059-1063, 2010
別刷請求先
黨 和夫 〒843-0393 嬉野市嬉野町大字下宿丙2436 国立病院機構嬉野医療センター外科
受理年月日
2010年3月24日
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