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第43巻 第10号 2010年10月 [目次] [全文 ( PDF 903KB)]
症例報告

孤立性甲状腺転移を来した直腸癌の1例

赤羽 和久, 小木曽 清二, 坂口 憲史, 橋本 瑞生, 石川 玲, 加藤 健宏, 小林 建仁, 加藤 一夫

中部労災病院外科, 同 病理科

 症例は65歳の女性で,平成18年9月直腸癌にて低位前方切除術(D2)を施行した.病理組織学的検査結果はtub2,pSS,pN1,StageIIIaであった(大腸癌取扱い規約第7版).術後補助化学療法としてUFT/UZELを5コース施行した.平成19年7月経過観察目的のCTで甲状腺左葉に石灰化を伴う腫瘤影を認め,穿刺吸引細胞診で腺癌と診断した.甲状腺右葉と峡部にも小腫瘤があり,周囲リンパ節の腫大も認め,甲状腺癌を疑い甲状腺全摘術(D3b)を施行した.甲状腺左葉腫瘍は病理組織学的に直腸癌の組織像と類似しており,直腸癌甲状腺転移と診断した.右葉・峡部の腫瘤は腺腫様結節であった.術前後の精査で甲状腺以外に明らかな転移は認めなかった.直腸癌の甲状腺転移は剖検例では認められるが臨床経過上発見されることは少ない.また,他臓器転移合併例が多く,本例のように孤立性に甲状腺転移を来した例は極めてまれである.

索引用語
rectal carcinoma, solitary thyroid metastasis

日消外会誌 43: 1069-1075, 2010

別刷請求先
赤羽 和久 〒430-0929 浜松市中区中央1-1-1 JA静岡厚生連遠州病院外科

受理年月日
2010年3月24日

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