症例報告
横行結腸間膜原発孤立性線維性腫瘍を腹腔鏡下に切除した1例
久下 博之, 樫塚 久記, 横山 貴司, 鎌田 喜代志, 新見 行人, 川崎 敬次郎, 辰巳 満俊, 丸山 博司*
星ヶ丘厚生年金病院外科, 同 臨床検査科*
症例は72歳の男性で,近医で腹腔内腫瘍を指摘され当院に紹介入院となった.腹部造影CTでは横行結腸近傍に6 cmの造影効果を伴う腫瘍を認め,MRIではT1強調画像で低信号を示した.壁外発育型横行結腸原発gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)と術前診断して手術を行った.術中所見にて横行結腸間膜から発生する腫瘍であることが判明した.結腸など周囲臓器への浸潤は認めなかった.中結腸動脈から分岐する栄養血管を含む基部を自動縫合器で一括処理し,腹腔鏡下に腫瘍を切除した.切除標本は径6.1 cm,白色充実性腫瘤であった.病理組織学的検査所見ではCD34(+),c-kit(-),bcl-2(3+), labeling index(以下,L.I.)6.8%を示し,横行結腸間膜原発孤立性線維性腫瘍と診断した.結腸間膜由来のsolitary fibrous tumor(以下,SFT)はまれであり,腹腔鏡下に切除した症例は検索したかぎり認めなかった.文献的考察を加えて報告する.
索引用語
solitary fibrous tumor (SFT), mesentery, laparoscopic surgery
日消外会誌 43: 1076-1081, 2010
別刷請求先
久下 博之 〒635-0022 奈良県大和高田市日之出町12-3 健生会土庫病院大腸肛門病センター
受理年月日
2010年3月24日
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