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第43巻 第10号 2010年10月 [目次] [全文 ( PDF 746KB)]
症例報告

成人に発症した骨盤内巨大胎児型横紋筋肉腫破裂の1例

山田 顕光, 大田 貢由, 永野 靖彦, 藤井 正一, 國崎 主税, 野沢 昭典1), 遠藤 格2)

横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 同 病理部1), 横浜市立大学医学部附属病院消化器・肝移植外科2)

 症例は21歳の男性で,腹痛,便通異常を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で直腸の壁外性圧迫を認め,CT,MRIで膀胱直腸窩を中心に,径10 cmの境界明瞭な腫瘍を認めた.急速に腹痛,腹部膨満感が増悪し,超音波で多量の腹水を認め,腫瘍の破裂が疑われたため,緊急手術となった.術中所見では,骨盤内腫瘍の頂部が破裂し,同部からの出血による多量の血性腹水とムチン様内容物の流出を認めた.出血コントロールのために腫瘍の摘出が必要と判断し,腹会陰式直腸切断術を施行したが,腫瘍は膀胱から前立腺にかけて強固に癒着しており,骨盤内に腫瘍組織の一部が残存した.組織学的には胎児型横紋筋肉腫で,消化管・前立腺に浸潤を認めた.術後肺・肝転移が出現したため,放射線化学療法を施行し,画像上完全寛解となり,術後15か月生存中である.横紋筋肉腫破裂は検索しうる限りで自験例が5例目であり,きわめてまれな症例であるため,文献的考察を交え報告する.

索引用語
rhabdomyosarcoma, embryonal type, rupture

日消外会誌 43: 1082-1087, 2010

別刷請求先
山田 顕光 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学大学院医学研究科消化器腫瘍外科学

受理年月日
2010年3月24日

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