症例報告
食道神経鞘腫の2例
枝園 和彦, 野崎 功雄, 小畠 誉也, 大田 耕司, 久保 義郎, 棚田 稔, 栗田 啓
国立病院機構四国がんセンター外科
食道腫瘍の中でもまれな神経鞘腫を2例経験したので報告する.症例1は66歳の女性で,検診の上部消化管造影X線検査にて異常を指摘された.画像検査では胸部中部食道に5.0 cm大の粘膜下腫瘤を認めた.食道由来の間葉系腫瘍を疑い,開胸食道切除術を施行した.免疫組織学的検討の結果,良性の食道神経鞘腫と診断した.症例2は56歳の男性で,同様に検診の上部消化管X線検査にて異常を指摘され当院を受診した.画像検査所見では胸部下部食道に3.2 cm大の粘膜下腫瘍を認めた.食道粘膜下腫瘍の診断のもと,胸腔鏡下粘膜下腫瘤核出術を施行した.術前に挿入したS-B tubeによる圧出法を併用した.免疫組織学的検討の結果,良性の食道神経鞘腫と診断した.食道神経鞘腫に対し切除が行われた本邦文献報告例は,自験例を含めても26例に過ぎず,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
esophagus, submucosal tumor, schwannoma
日消外会誌 43: 1106-1111, 2010
別刷請求先
枝園 和彦 〒791-0280 松山市南梅本町甲160 国立病院機構四国がんセンター外科
受理年月日
2010年4月28日
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