胃全摘後に吻合部，挙上空腸断端の2か所に縫合線再発を来した胃癌の1例

中村　勇人, 平松　和洋, 加藤　岳人, 鈴木　正臣, 柴田　佳久, 吉原　基, 池山　隆, 鈴村　潔

豊橋市民病院外科

　症例は76歳の女性で，平成17年8月に胃上部の3型進行胃癌，幽門部のIIa早期胃癌，および食道裂孔ヘルニアに対し，D2リンパ節郭清を伴う胃全摘＋脾摘術＋食道裂孔縫縮術を施行した．病理組織学的診断は胃上部が中分化型管状腺癌，pT2（ss），ly1, v0で，幽門部が高分化型管状腺癌，pT1（m），ly0, v0, pN0, pPM（－），pDM（－）であった．術後4か月後に嚥下困難が出現，精査で胃癌吻合部再発と診断され，左開胸開腹下に吻合部再発切除術を施行した．組織型は，中分化型管状腺癌，pT2（ss），ly0, v0, pN0, pPM（－），pDM（－）であった．再発部位は吻合部，挙上空腸断端の異なる2か所のステープル部を中心に認められ，初回手術標本で切除断端陰性でかつ，高度脈管侵襲を伴っていないことから，異なる2か所に縫合線再発を来したと考えられた．

索引用語
gastric cancer, suture-line recurrence, implantation

別刷請求先
中村　勇人　〒437-0061　袋井市久能2515-1　袋井市立袋井市民病院

受理年月日
2010年4月28日

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