症例報告
空腸内に重積した早期胃癌の1切除例
三上 和久, 斎藤 典才, 安松 比呂志, 中村 崇, 前多 力, 横山 隆, 原 和人
石川勤労者医療協会城北病院外科
症例は88歳の女性で,近医のCTにて小腸腫瘍と診断され経過観察されていた.その後経口摂取困難,体重減少を認めたために紹介入院した.CTにて8.5 cm大の腫瘤を先進部として,幽門部の胃が十二指腸から空腸にまで重積している所見を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃体下部大彎に存在する多数の結節が集簇した10 cm大の隆起性病変が,十二指腸下行脚のさらに遠位側にまで重積している所見を認めた.以上より,早期胃癌(Type0I SM)の空腸重積と診断し,腹腔鏡補助下胃部分切除術を施行した.病理組織学的検査では高分化型管状腺癌で,pT1(M),ly0, v0, PM(-),DM(-)であった.胃腫瘍が空腸にまで重積した報告例は見あたらず,種々の腫瘍側因子に加えて,特に十二指腸の後腹膜への固定異常という患者側因子が加わった結果,このような現象が起きたと考察された.
索引用語
invagination, early gastric cancer, jejunum
日消外会誌 43: 1123-1128, 2010
別刷請求先
三上 和久 〒920-0848 金沢市京町20-3 石川勤労者医療協会城北病院外科
受理年月日
2010年4月28日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|