症例報告
胆管内発育により閉塞性黄疸を来した肝内胆管嚢胞腺腫の1例
井内 武和, 仲 成幸, 塩見 尚礼, 来見 良誠, 石田 光明1), 増田 清博2), 谷 徹
滋賀医科大学外科学講座, 同 病理部1), 野洲病院内科2)
症例は21歳の女性で,食欲不振を主訴に近医を受診した.閉塞性黄疸,肝嚢胞性腫瘍と診断され経乳頭的ドレナージの後に当院へ転院となった.胆道造影検査では総肝管から左肝管にかけて長径3.5 cmの辺縁平滑な楕円状の陰影欠損と左肝内胆管末梢側の拡張を認め,CTおよびMRIでは肝内側区域に内部に隔壁をもった最大径5 cmの嚢胞性病変と総肝管内腔を占める嚢胞性病変を認めた.肝内胆管嚢胞腺腫の診断のもとに肝左葉切除,胆管切除,胆管空腸吻合を施行した.切除標本では肝内側区域の嚢胞性腫瘍と,それにつながり総肝管内に突出する小さな嚢胞性腫瘍を認め,H.E. 標本で卵巣様間質を認め肝内胆管嚢胞腺腫と診断した.胆管嚢胞腺腫は比較的まれな腫瘍であり,胆管内に嚢胞が突出する発育形式の報告は今までにない.他疾患との鑑別において注意すべき所見と考えられるため,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
intrahepatic bile duct cystadenoma, ovarian like stroma, bile duct development
日消外会誌 43: 1146-1151, 2010
別刷請求先
井内 武和 〒520-2192 大津市瀬田月輪町 滋賀医科大学外科学講座
受理年月日
2010年4月28日
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