原発性小腸未分化癌を含む三重複癌の1例

稲葉　基高, 片岡　正文, 安原　功, 岡田　剛, 大原　利憲, 能勢　聡一郎^＊

岡山済生会総合病院外科, 同　病理^＊

　症例は66歳の男性で，微熱と腹痛を主訴に受診した．喉頭癌，肺癌の治療歴あり．CTでは，小腸間膜から小腸壁に連続する軟部腫瘤，小腸間膜内のリンパ節の腫脹を認めた．小腸腫瘍，悪性リンパ腫，gastrointestinal stromal tumorなどが疑われ，腸閉塞傾向を示したことから手術を施行した．術中所見では，Treitz靱帯より約170 cmの回腸に7×5 cm大の腫瘤を認め，病巣の栄養血管沿いに上腸間膜動脈周囲までリンパ節の腫脹を認め小腸切除とリンパ節郭清を行った．病理組織学的には既往の癌とはまったく異なる組織像であり，免疫染色検査の結果からリンパ節転移を伴う原発性小腸未分化癌と診断した．術後19日目に退院．術後37か月の現在無再発生存中である．小腸原発の未分化癌の報告はまれでありその予後は極めて不良である．今回，比較的長期無再発生存を得ている，リンパ節転移を伴う原発性小腸未分化癌を含む三重複癌の1例を経験したので報告する．

索引用語
small-intestine tumor, undifferentiated carcinoma, lymph node metastasis

別刷請求先
稲葉　基高　〒700-8511　岡山市伊福町1-17-18　岡山済生会総合病院外科

受理年月日
2010年3月24日

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