症例報告
横行結腸間膜ヘルニアの1例
岡田 尚也, 鈴木 温, 橋本 陽平, 野路 武寛, 中村 透, 安保 義恭, 中村 文隆, 樫村 暢一
手稲渓仁会病院外科
症例は84歳の女性で,腹痛と嘔吐を主訴に2008年10月当院外来を受診した.臍周囲に圧痛を認めるのみで,筋性防御や反跳痛はなかった.CT上著明な腸管の拡張が認められたが,明らかな閉塞機転は指摘できず,イレウスの診断にて入院した.保存的加療を行うも,入院翌日に反跳痛が出現し,緊急手術を施行した.手術所見で,横行結腸間膜右側に3 cmのヘルニア門が存在し,空腸が約20 cmにわたり嵌頓していた.ヘルニア門を縫合閉鎖した.嵌頓した小腸に壊死所見は見られなかった.術後経過は良好で,術後8日目に退院した.横行結腸間膜ヘルニアはまれな疾患で,術前診断は困難である.開腹歴のない,内ヘルニアに伴うイレウス症例では,横行結腸間膜ヘルニアを鑑別診断の一つとして考え,手術を念頭においた,迅速な治療が必要である.
索引用語
internal hernia, transverse mesocolon
日消外会誌 43: 1189-1193, 2010
別刷請求先
岡田 尚也 〒006-8555 札幌市手稲区前田1条12-1-40 手稲渓仁会病院外科
受理年月日
2010年3月24日
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