症例報告
胃穿孔による汎発性胸・腹膜炎を伴った成人Bochdalek孔ヘルニアの1救命例
諏訪 宏和, 長堀 優, 高橋 徹也, 山本 晴美, 長田 俊一, 窪田 徹, 小尾 芳郎, 阿部 哲夫, 遠藤 格*, 嶋田 紘*
横浜市立みなと赤十字病院外科, 横浜市立大学大学院医学研究科消化器病態外科学*
症例は65歳の男性で,精神疾患にて他院に入院中であったが,腹部激痛,ショック状態のため当院に搬送された.胸部単純X線検査,胸腹部CTにて横隔膜ヘルニアに伴う消化管穿孔,汎発性胸・腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.左横隔膜後縁に約5 cmのヘルニア門を認め,胃体上部大彎に約2 cmの穿孔を認めた.胃部分切除,ヘルニア門の直接縫合閉鎖・ドレナージ術を行った.術後も敗血症性ショックの状態が持続したが徐々に回復し,術後第104病日に前医に転院となった.Bochdalek孔ヘルニアの成人例は比較的まれとされている.予後は一般に良好とされているが,脱出臓器の嵌頓・穿孔例では重篤化することがあるため,症状の有無にかかわらず早期に手術を行う必要があると考えられた.
索引用語
diaphragmatic hernia, Bochdalek's hernia, gastric perforation
日消外会誌 43: 1212-1217, 2010
別刷請求先
諏訪 宏和 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学大学院医学研究科消化器病態外科学
受理年月日
2010年6月16日
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