症例報告
異なる原因により発症したhemosuccus pancreaticusの2例
猪狩 公宏, 渡辺 雄一郎, 藍原 有弘, 落合 高徳, 熊谷 洋一, 山崎 繁
太田西ノ内病院外科
Hemosuccus pancreaticus(以下,HP)は膵管を通りVater乳頭から出血を来すまれな疾患である.今回,我々は異なる原因により発症したhemosuccus pancreaticusの2例を経験した.症例1は77歳の男性で,繰り返す吐血より,腹部CTにて脾動脈瘤を認めたことより手術を施行したところ,主膵管との交通をもつ動脈硬化性の脾動脈瘤を認めた.症例2は58歳の男性で,腹痛を主訴に施行した上部消化管内視鏡検査にて,Vater乳頭からの出血を認め,また腹部MRIにて膵尾部に腫瘤を認め,嚢胞内出血と診断し手術を施行した.嚢胞壁は異型を認める円柱上皮に覆われており,膵管との交通を認め,また卵巣様間質を認めないことよりintraductal papillary mucinous neoplasmと診断した.原因不明の上部消化管出血には,HPを鑑別疾患に入れた診療が必要である.
索引用語
hemosuccus pancreaticus, aneurysm, intraductal papillary mucinous neoplasm
日消外会誌 43: 1246-1251, 2010
別刷請求先
猪狩 公宏 〒963-8558 郡山市西ノ内2-5-20 太田西ノ内病院
受理年月日
2010年4月28日
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