一般社団法人日本消化器外科学会

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理事長挨拶 ―市民のみなさまへ―

理事長 瀬戸 泰之(東京大学医学部大学院医学系研究科消化管外科学)

 2015年7月から第4代理事長を拝命しました.

 日本消化器外科学会は1968年に発足し,ほぼ50年の歴史を有する伝統ある学会で,現在2万人余りの会員が所属しています.本学会の目的は「消化器外科学の進歩と普及に貢献し,もって医療に関する学術文化の発展と国民の福祉と医療の発展に寄与するとともに,社員・会員の研究,教育,診療の向上を図る」こととされています.これまでこの目的を達成するために多くの努力が払われてきました.今後もその努力を継続して行きたいと思います.

 日本では二人に一人ががんになり,三人に一人ががんで亡くなる時代になりました.すべてのがんの中で食道,胃,小腸,大腸,肛門,肝臓,膵臓,胆道,脾臓などの消化器にできる消化器がんが過半数を占めています.消化器外科医はその治療を第一線で行っています.また,がん以外にも良性疾患と呼ばれる胆石症,ヘルニア,痔,炎症性疾患(クローン病など)など,多岐にわたる病気の診療にもあたっています.

 あまりマスコミは伝えてくれませんが,我が国の消化器外科領域の手術は,その精度,安全性など海外からは世界一と評価されていますし,我々もそのように自負しています.欧米,アジア問わず数多くの見学者が我が国の手術を学ぶために来日しています.実際,我が国から発信される英語論文ではそのことが示されています.また,本学会では,そのような素晴らしい治療にあたる消化器外科医に対し,独りよがりではなく,客観的に信頼できる医師であることを示す目的で,1984年より独自に専門医制度を導入しました.日本消化器外科学会の専門医の先生は技術的な面からも科学的な面からも信頼できます.これからすべての診療科を網羅した新しい専門医制度が始まろうとしていますが,本学会の専門医制度はそのお手本にもなりうるものと自負しています.今後はこの専門医制度をより充実させ,皆様からの信頼がより深く得られるように制度の改善を進めたいと思います.

 市民の皆様にとっては消化器系の病気は大変身近なものと思います.それだけに全国のどこでも一律に良い治療が受けられるようにすることは大変重要です.しかし,現実には十分な数の消化器外科医がいない施設も多いと思われますが,その詳細を知るデータがありませんでした.そこで本学会や日本外科学会が中心となって,全国のどこで,どのような手術が,どれくらいの数,行われているか,調べていくことが開始されていました.これは消化器外科関連の手術だけではなく,他の領域の手術についても調べる事業でNational Clinical Database (NCD)と呼ばれています.全国で行われている手術のほぼすべてが登録されている膨大なデータになっており,年間100万件をこえる手術が登録されています.このデータを蓄積し,調べることで,市民の皆様が安心して手術を受けることができるような医療体制が構築しうるものと考えています.

 本学会では市民の皆様に消化器系の病気や手術の方法などについての情報を提供することを開始しています.学会のホームページを開いていただき,ぜひ十二分に活用していただければ幸いです.どうぞよろしくお願い申し上げます.