日本消化器外科学会

MyWeb 会員専用ページ ログイン
  • English
ホーム  >  学会概要  >  指針等  >  医学研究発表における倫理的問題に関する見解および勧告

指針等

医学研究発表における倫理的問題に関する見解および勧告

会員各位

 近年,新しい医学研究領域の発展により,研究・医療および医学教育の従事者はそれぞれの立場で必要に応じた倫理的対応が迫られています.日本消化器外科学会理事会では,本学会における今後の投稿論文や学術集会での医学研究発表における倫理的問題に関して下記のごとく見解を示し,生命倫理に関する問題について広く会員の理解を深め注意を喚起することにいたしました.
 すべての医学研究においては,研究自体の倫理性は言うに及ばず,患者さんの権利に関しても十分に配慮されるべきであります.
 本会会員の皆様におかれましては,特に,ヒトを対象とした医学研究を行う場合には,患者さんのプライバシーの保護やインフォームドコンセントなどに関する倫理的問題に十分配慮されますようお願いいたします.

医学研究発表における倫理的問題に関しては,以下のいずれかを満たすものとする.

A.ヒトを対象とした研究:

  1. ヒトゲノム・遺伝子研究では「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省,厚生労働省および経済産業省)(平成13年3月29日)による規定.
  2. 上記以外に各施設倫理審査委員会の承認が必要な研究であり,その承認を得たもの.
  3. ヒトを対象とした研究で倫理審査委員会の承認を必要としないが,ヘルシンキ宣言(2000年版)の精神を遵守したもの(但し,第13条の条文を除く).

B.ヒト以外を対象とした研究:

  1. ヒト以外を対象とした研究で,動物実験に関する審査委員会の承認を得たもの.
  2. ヒト・動物を対象とせず,倫理的問題ついて配慮を要しない研究.

[解説]
 ここでは,医学研究を,ヒトを対象とした研究(個人を特定できるヒト由来の材料及び個人を特定できるデータの研究を含む)とヒト以外を対象とした研究に分けます.また,ヒトを対象とした研究では「ヒトゲノム・遺伝子研究」と「これ以外の研究」とに分けます.

A.ヒトを対象とした研究:

  1. ヒトゲノム・遺伝子研究では「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省,厚生労働省および経済産業省)(平成13年3月29日)(http://www.mhlw.go.jp/houdou/0103/h0329-3.html)による規定があり,これを熟読し内容を理解した上で遵守する必要があります.この場合,各施設での倫理審査委員会の承認が必要です.なお,現時点における過渡期的問題として,本指針が示される以前に終了した研究については,上記指針で示されている「細則1(本指針施行前の研究に関する細則)本指針施行前に既に着手され,現在実施中のヒトゲノム・遺伝子解析研究に対しては適用しないが,可能な限り,本指針に沿って適正に実施することが望まれる」に従って下さい.
  2. 「これ以外の研究」についても,原則として各施設倫理審査委員会の承認が求められます(2.として提示しました).「人口統計に関する研究」やインフォームドコンセントを得て治療を目的に行った症例の「症例検討(症例報告も含む)」などでは倫理審査委員会の審査を必要としない場合もありますが*,この場合もヘルシンキ宣言(2000年版:日本語訳は日本医師会より公表されているhttp://www.med.or.jp//wma/helsinki02_j.html)で述べられている(第13条の倫理審査委員会への実験計画書の提出を義務づけた条文以外の)精神に十分配慮したものであることが求められます(3.として提示しました).
*:症例検討(症例の集計による研究発表)や症例報告などは,一般に,実地医療の結果報告であり,ヘルシンキ宣言が対象としている‘medical research involving human subject’には含まれないと考えます.

B.ヒト以外を対象とした研究:

  1. ヒト以外に動物などを対象とした医学研究の場合においても,各施設における審査委員会の承認が必要であり,その内容が生命倫理,動物福祉の観点からみて適切であることが求められます.
  2. 医工学領域や動物以外の生物に関する研究領域では倫理的問題を考慮する必要がないものがありますが,広い意味で生命倫理について(化学兵器製造の問題,地球環境問題などにも)十分配慮することが求められます.

平成14年2月
日本消化器外科学会