原著
大腸癌における血管造影の検討
鶴見 清彦, 炭山 嘉伸
東邦大学第3外科
54例の大腸癌中25例に上下腸間膜動脈造影を行い,腫瘍所見と血管造影所見との比較検討を試みた.25例の血管造影所見上出現率をみてみると,血管途絶32%,血管壁浸潤不整52%,腫瘍血管76%,腫瘍斑72%,屈曲蛇行52%,圧排転位52%,静脈相早期出現12%であった.高頻度に出現するのは,腫瘍血管と腫瘍斑で静脈相早期出現は低かった.腫瘍の局在場所と血管造影所見を検討すると,直腸,肛門,S状結腸は所見頻度が高く,上行結腸,横行結腸は所見頻度が低かった.Stageとの関係は,Stage進行につれて,所見陽性例が多く,それだけ血管への浸潤像,組織破壊を示す所見が得られた.摘出標本の大きさと血管造影所見上の腫瘍の大きさを比較するとほぼ同じ大きさを示していたが,注腸透視や内視鏡では壁外への広がりを推測出来ないが血管造影では腫瘍の全容を把握出来る点,有意義である.大腸癌における腸間膜動脈造影所見は,局在場所,Stage別分類と相互関係があったと判断した.
索引用語
大腸癌, 上下腸間膜動脈, Stage分類, 血管造影所見, 腫瘍の局在場所
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