原著
膵頭部領域癌における血管撮影の臨床的意義
中本 実, 佐藤 良昭, 高橋 恒夫, 井出 哲也, 森永 泰良, 川村 統勇, 平井 勝也, 大塚 明夫, 三穂 乙実, 長尾 房大
東京慈恵会医科大学第2外科
膵頭部領域癌における血管造影法は形態学的な診断法として一般にかなり普及してきた.
われわれは膵頭部領域癌における血管造影による所見を4 groupにわけ,それぞれのgroupにおける診断率,腫瘍の大きさ,手術方法および手術成績について検討した.血管造影は膵頭部領域癌74例(63.2%)に施行した.血管造影所見は次のごとくである.Group I:血管撮影上異常所見が認められなかった症例(9例),Group II:膵アーケードとあるいはその末梢血管の異常が認められたもの(20例),Croup III:胃十二指腸動脈,あるいは総肝動脈,固有肝動脈など主要血管に異常が認められたもの(39例),Group IV:肝転移が認められたもの(5例)である.診断率から見ると膵頭部癌は進行癌のため非常に高い結果であるが,その反面手術切除率は悪く,予後も悲惨であった.Vater 乳頭部癌では異常所見が認められなかった症例が約50%にも見られたが,膵頭部癌と異なり切除率は良く,手術成績も大分期待が持てる現状となりつつある.いずれにしても,血管読影上,膵頭部領域癌の切除率,手術成績がかなり正確に推察できた.
索引用語
膵頭部領域癌, 膵頭部癌, Vater乳頭部癌, 血管造影法, 肝転移
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