原著
直腸肛門癌における後腹膜非縫合腹会陰式直腸切断術の検討:88症例の解析
粕川 剛義
東邦大学第1外科
後腹膜非縫合腹会陰式直腸切断術を直腸肛門癌88症例に施行し,他の二術式で施行した腹会陰式直腸切断術群(後腹膜縫合)と比較検討した.本術式は,1969年Papaioannou氏が報告したものであるが,その要点は腹会陰式直腸切断術において,1)後腹膜を再縫合しない,2)両側内腸骨動脈を結紮切断する,3)会陰創を一次的に縫合閉鎖することである.本術式の特徴は他術式に比して,術中出血量の減少,入院日数の短縮および合併症の改善である.今回の調査では,本法施行の会陰部瘻孔切除例は0(対照群10.8%および13.2%),人工肛門部合併症は2.3%(対照群20.3%,23.1%),癒着性イレウス4.5%(対照群15.2%)と著明な改善が見られた.予後においても,局所再発の増加はなく,最長8年間のfollow upを行い,相対生存率を検討したところ,良好な結果が得られた.いまだ本法施行例の術後長期観察の報告がなかったが,今回の調査で,それが明らかとなり,本法の有用性が種々の点で実証されたものと考えられる.
索引用語
papaioannou法直腸切断術, 後腹膜非縫合, 腹会陰式直腸切断術, 直腸切断術々後合併症, 直腸肛門癌の予後, 相対生存率
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|