原著
吐血・下血を主訴とした早期胃癌症例の検討
佐々木 明, 桑原 正知, 武田 功, 小林 元壮, 猶本 良夫, 長江 聡一, 矢田 義比古, 畑 隆登, 榎本 正満, 鷲田 晢雄, 荒田 敦, 村山 正毅, 中川 潤, 井出 愛邦
国立岩国病院外科
過去11年間に経験した早期胃癌手術134例のうち,吐血・下血の顕出血を主訴とした12例について検討した.出血程度は8例が大量出血し,肉眼分類ではIII+IIc(5例)IIc+III(4例)IIc(2例)IIc+IIb(1例)とすべて陥凹型で,占居部位はM,大きさは5 cm以上,深達度はsm,組織型は分化型が多く見られた.出血源としては,IIIを有する早期胃癌は潰瘍底露出血管破綻(5例)潰瘍辺縁粘膜下動静脈破綻(1例)潰瘍底毛細血管増生(3例)が考えられ,IIIを有しない早期胃癌は腫瘍粘膜出血(3例)が考えられた.待期手術された6例はすべて治癒手術であったが,緊急手術された6例のうち3例は術前に出血性胃潰瘍と診断され非治癒手術となった.
索引用語
上部消化管出血, 早期胃癌, 緊急内視鏡検査, 腫瘍血管
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