原著
選択的迷走神経切離術兼幽門形成術後長期経過例の胃内外分泌機能と胃内視鏡所見
渡部 洋三, 近藤 慶一郎, 金沢 寛, 若林 厚夫, 津村 秀憲, 小島 一雄, 川島 利信, 工藤 猛, 滝本 隆治, 能美 明夫, 佐々木 浩, 城所 仂
順天党大学第1外科
われわれは,選択的迷走神経切離術兼幽門形成術後6~8年経過した10症例を対象として,その胃内外分泌機能と胃粘膜所見を検討した.方法は全例に胃液検査,血清ガストリン検査,壁細胞とガストリン細胞の電顕学的検索および内視鏡検査を施行した.基礎および最高酸分泌量の減酸率は,各々78.6,67.9%で,術後1~2年目より低値であった.空腹時および肉汁エキス刺激後の血清ガストリン値は,術前よりも有意に高値であった.無酸群の壁細胞はヒスタローグ刺激に反応しなかったが,ガストリン細胞は肉汁エキスによく反応した.胃内視鏡検査では,10例中3例に症状を伴なわない浅い多発胃潰瘍が観察され,内視鏡によるfollow upの重要性がうかがわれた.
索引用語
選択的迷走神経切離兼幽門形成術, 胃内外分泌機能, 壁細胞, ガストリン細胞, 術後再発潰瘍
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