原著
肝切除術後における血行動態の変動とその対策
連 利博, 岡本 英三, 桑田 圭司, 京 明雄, 田中 信孝, 山中 若樹, 田中 茂, 藤原 史郎, 奥谷 龍1), 河野 克彬1)
兵庫医科大学第1外科, 同 麻酔科1)
肝切除症例16例に対し,Swan-Ganz Catheterによる術前後の血行動態を検討した.
晶質液(10 ml/kg/h)のみによる術中輸液が行われた7例においては,術直後に心係数:-1.2±0.8 L/min/m,肺動脈楔入圧:-2.0±3.6 mmHg,の低下がみられ,全末梢血管抵抗は715,498 dynes・sec・cmと上昇し,著明なhypovolemiaのパターンを示した.
そこでこのhypovolemiaを予防する目的で,術中より膠質液を投与し術前後の血行動態を更に検討した.膠質液(新鮮凍結血漿4 ml/kg/h+晶質液6 ml/kg/h)が投与された9例においては,術直後より循環諸量は術前値を保ち,良行な血動動態が維持された.
術中膠質液投与は,肺や腎に対する悪影響もとくに認められず,有意義であると考えられた.
索引用語
肝切除術, Swant-Ganz Catheter, 術中輪液
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