原著
実験的エンドトキシンショックに対するヘパリンの効果―特に肝の形態学的および肝ミトコンドリア機能面からの検討―
鍋田 光一, 岡崎 稔, 横川 金弥, 上村 恭一, 戸塚 守夫, 早坂 滉, 成松 英明1)
札幌医科大学第1外科, 同 中検病理1)
エンドトキシンショックにおけるDICの意義およびヘパリンの効果を知る目的で,ヘパリン前処置ラットと無処置ラットについて,血液学的,肝形態学的変化,肝ミトコンドリア機能および生存率について比較検討した.無処置群ではエンドトキシン投与3時間目に血小板,血漿フィブリノーゲンの減少,血清FDPの増加がみられ,肝類洞にはフィブリン血栓が多発し,その周囲の肝組織に出血,壊死が出現し,その肝細胞内小器官の著明な変性が認められた.またこの時期に一致して急激な肝ミトコンドリア機能障害が発生した.一方,ヘパリン前処置群3時間目では血液学的,肝形態学的変化は軽度で,肝ミトコンドリア機能障害もみられず,生存率の著明な改善が認められた.
索引用語
エンドトキシンショック, 肝ミトコンドリア機能, DIC症候群, ヘパリン
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|