原著
食道癌の発育形態と術前合併療法の効果―組織学的効果からの解析―
町田 哲太, 吉田 弘一, 池内 広重, 狩野 寛治, 高橋 通宏, 三浦 裕一
宮城県立成人病センター外科
術前合併療法を受けた69例の食道癌のX線像と切除標本の照射効果を検討した.浸潤型では表層浸潤型は4例全例がEf 3で,外膜浸潤,リンパ節転移,脈管侵襲,壁内転移などの病理学的悪性度も低いが,5例の全層浸潤型はEf 1,2が多く病理学的悪性度も高い.潰瘍浸潤型5例はその中間で,全層浸潤型以外は術前照射の適応がある.腫瘤型のうち管内型7例では照射効果が高く,リンパ節転移以外の病理学的悪性度も低いが,壁在型9例は照射効果が落ちる上に病理学的悪性度が高い.両型ともリンパ節転移率が高いので,切除を優先さす方が合理的である.潰瘍型は39例中31例がa2以上なので,術前照射で外膜因子を制御して切除率の向上を図るべきである.
索引用語
食道癌の発育形態, 食道癌術前合併療法, 食道癌術前照射
日消外会誌 15: 1430-1436, 1982
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