原著
選択的腹腔動脈撮影と胃癌手術―切除可能性の判定について―
余喜多 史郎, 古味 信彦, 森本 重利1), 矢野 嘉朗1)
徳島大学第1外科, 徳島市民病院外科1)
術前に腹腔動脈撮影を施行しえた進行胃癌47症例につき,血管造影所見と癌型の肉限的分類,組織分類,手術術式との関係につき検討を加えた.胃癌血管像は主としてhypervascular typeで,動脈相に種々な程度のencasement所見を認め多彩であった.手術術式との関係についてみると,左胃動脈本幹ないし一次分枝に異常所見を認めた症例は,単開腹症例では11例中9例(81.8%),胃腸吻合症例では6例中5例(83.3%)であった.逆に切除可能症例についてみると非治癒切除症例7例中2例(28.6%),治癒切除症例23例中2例(8.6%)であった.したがって,左胃動脈本幹,一次分枝に異常所見を認めなければ,少なくとも切除可能症例であろうと思われた.
索引用語
進行胃癌, 腹腔動脈撮影, 胃癌手術
日消外会誌 15: 1437-1441, 1982
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