原著
肝障害例手術と術前評価
新谷 清, 藤原 敏典, 小林 修, 守田 知明, 兼行 俊博, 中野 秀麿1)
山口県厚生連周東総合病院外科, 山口大学医学部第1外科1)
16例の肝障害例に対し,術前に一般肝機能検査の他にICG Rmax,50 g OGTT,HPT,glucagon負荷後の血中cyclic AMPの反応等を可能な限り行って手術を施行した.その結果,肝硬変合併肝癌での右葉切除と肝硬変による食道静脈瘤に対するmesocaval H shuntの各々1例が死亡したが,ICG Rmaxは肝硬変では低値を示し,死亡した2例のそれは各々0.61,0.27であった.ICG RmaxはAlb,Ch. E,ZTT,HPT,R15,KICGと統計学的に有意の相関を示した.cyclic AMPの反応は疾患群間および同一疾患群内にもばらつきがみられたが,手術予後を示唆する貴重な情報をもたらしたものもあり他の検査で手術適応の境界線上にあるときは有力な判定法になりうる.
索引用語
肝機能的予備力, ICG Rmax, cyclic AMP
日消外会誌 15: 1442-1448, 1982
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